「もうちょっと考えてカード買えば?」

友人からこう言われたのがデッキを見つめなおすきっかけとなった。ちょこちょこシングルカードを買う私だが、レガシーのエルフデッキ用のカード収集は趣味の範疇だから放っておいてもらうとして、確かにスタン用のカード購入には問題がある。

《外科的摘出/Surgical Extraction》を4枚じゃなくて《漸増爆弾/Ratchet Bomb》ならあの厄介な《忘却の輪/Oblivion Ring》や《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》にも少しは耐性をつけることができたし、《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard》を4枚買うぐらいなら《黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith》の1枚の方が優先度が高かったのは明白だ。・・・おっと待ってくれ。なぜ私は《記憶の熟達者、ジェイス/Jace, Memory Adept》を3枚も買っている!?《闇滑りの岸/Darkslick Shores》はどうした!?

友人曰く、「デッキリストを考えてからカードを買え」。

なかなか良いことをいうではないか。というか私も私なりに考えて、回らないお寿司を食べる権利とカードを交換していたわけだが、どうやら認識が甘かったらしい。お金もない中で少なくともFNMで勝ちこせる程度のデッキを作りたいのなら、必然的に使えるデッキは一つしか作れない。今ならグリクシスコントロールだ。

要はグリクシスコントロールの最終的な形を決めた上でカードを効率よく・・・ん?待て待て。なんでグリクシスコントロールなんだ?「なるべくお金を使わない」という観点から言えば、単色デッキにしたほうが良かったのではないのか?またどちらかと言えばパワーカードを用いるためお金のかかるコントロールよりも、ウィニーやビートダウンにした方がガソリンを一回多く入れられたのでは?

その答えは《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》にある。ちょうど新たなるファイレクシアが出たときにスタンを始めた私は、青単《大建築家/Grand Architect》感染を用いてFNMにデビューした。
-クリーチャー(21)-
4 疫病のマイア/Plague Myr
4 胆液爪のマイア/Ichorclaw Myr
3 屍百足/Necropede
4 荒廃の工作員/Blighted Agent
4 大建築家/Grand Architect
2 病毒のドレイク/Viral Drake

-ソーサリー(8)-
4 ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe
4 思案/Ponder

-インスタント(6)-
4 マナ漏出/Mana Leak
2 冷静な反論/Stoic Rebuttal

-エンチャント(1)-
1 堕落した良心/Corrupted Conscience

-アーティファクト(1)-
1 伝染病の留め金/Contagion Clasp

-土地(22)-
18 島/Island
2 墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus
2 埋没した廃墟/Buried Ruin

詳しくは憶えていないがこのような感じだった気がする。しかしまあ、我ながらなんと良くできたデッキなことか!エントリーセット「荒れ狂う大群/Ravaging Swarm」をベースに、前述した「単色でウィニー」にしっかり準じた安い構成。特に2枚しかない《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》が涙を誘う。結果は2-1だった。・・・あれ?こっちの方が今より強いんじゃ・・・いや、今その話は置いておこう。

ともあれ、このデッキをいじくり回している内にイニストラードの発売を迎えた。当初はこのデッキをベースに感染で行こうと思っていたのだが、事情が変わる。

あろうことか、剥くパック剥くパックから《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》が4枚当たってしまったのである。

結果から言えばこれが良くなかったのか。いや、高額レアが当たること自体は非常に良いことなのだ。あのまま感染を使っていけば、この《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》を元手に追加の《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》や青黒の土地達を手に入れ、一時期話題となった青黒感染を組むにいたったのかもしれない。

しかし、そうはしなかった。せっかく4枚になった高額レアだ。使わないでおけというのが無理な話であろう。フルに使えるデッキはないものか。しかして遂に私は青赤《燃え立つ復讐/Burning Vengeance》に出会った(DNを知ったのもこの頃)。
-クリーチャー(4)-
4 瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage

-ソーサリー(6)-
4 ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe
2 小悪魔の遊び/Devil’s Play

-インスタント(21)-
4 マナ漏出/Mana Leak
4 捨て身の狂乱/Desperate Ravings
4 熟慮/Think Twice
3 禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy
4 硫黄の流弾/Brimstone Volley
2 霊炎/Geistflame

-エンチャント(4)-
4 燃え立つ復讐/Burning Vengeance

-土地(25)-
10 島/Island
9 山/Mountain
4 硫黄の滝/Sulfur Falls
2 幽霊街/Ghost Quarter

これが最初期段階でのデッキ構成となる。このうちシングルで購入したカードは一つもない。すべてパックから出たかトレードである。「多色かつコントロール」でありながらレアの数も少なく限りなく安くできた好例といえよう。

問題はここからである。ある程度戦えるデッキとはいえ、ローグデッキの範疇を超えておらず勝てないマッチも多かった。最初は火力で焼ききれない脅威に対し、黒を加えることで対処しようとした。具体的には、《破滅の刃/Doom Blade》を3枚足しただけ。しかしここから迷走が始まる。黒を足したことでグリクシスコントロールに興味を持ってしまったのである。

すでにトップスピードに達してしまった車がそうである様に、一度火がついてしまった暴走に歯止めをかけるのは難しくまた長い制動時間を必要とする。

高まったグリクシス熱は瞬く間に《燃え立つ復讐/Burning Vengeance》を不必要であると断定し、《オリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldaren》や《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》といったレアを要求しだした。

それに応えるようにあるいは本能の赴くままに、「これもあったほうがいいかな」などと限定的な状況に心を揺らされながら大事なものを見定めずシングル買いに走った結果、お金ばかりを無駄に浪費してしまった。買わずともよいものを買ってしまった。もはや「《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》を4枚使いたい」といった当初の目的から逸脱し、何をしたいのかよくわからないまま迷走した結果のグリクシスコンの現行デッキリストが以下である。
-クリーチャー(4)-
2 瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage
2 オリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldaren

-ソーサリー(11)-
3 金屑の嵐/Slagstorm
3 テゼレットの計略/Tezzeret’s Gambit
2 困窮/Distress
2 小悪魔の遊び/Devil’s Play
1 黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith

-インスタント(10)-
3 捨て身の狂乱/Desperate Ravings
2 否認/Negate
2 ショック/Shock
1 喉首狙い/Go for the Throat
1 破滅の刃/Doom Blade
1 古えの遺恨/Ancient Grudge

-エンチャント(2)-
2 死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold

-アーティファクト(4)-
3 清純のタリスマン/Pristine Talisman
1 漸増爆弾/Ratchet Bomb

-プレインズ・ウォーカー(3)-
2 炬火のチャンドラ/Chandra, the Firebrand
1 ソリン・マルコフ/Sorin Markov

-土地(26)-
1 島/Island
5 沼/Swamp
4 山/Mountain
1 森/Forest
3 硫黄の滝/Sulfur Falls
3 水没した地下墓地/Drowned Catacomb
4 竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit
1 黒割れの崖/Blackcleave Cliffs
4 進化する未開地/Evolving Wilds

《漸増爆弾/Ratchet Bomb》少なくないか?高い代価を支払った《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》はどこへ行った?《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》が2枚に減っているじゃないか!大体《闇滑りの岸/Darkslick Shores》はまだ手に入れてないのか!!何!?《黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith》は友人から借りているだって!?omg!!

それもこれもいきあたりばったりなデッキ構築と購入プランのせいである。

反省点をまとめよう。最初にも述べたように資金が少ない中で戦えるデッキを作りたいのであればスマートな購入プランを考えなくてはならない。その指標となるのが最終的なデッキの明確なリストであり、さらにそのデッキを使いたいという原動力をいつでも確認するのが重要である。

私の場合は「《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》を4枚フルに使いたい」だった。

まかり間違ってグリクシス熱をこじらせた結果、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》が2枚しか入らないようなデッキになってしまった。外された2人?ファイルで泣いてたよ。

長い制動時間を要して今やブレーキは完全にかかった。大切なことを思い出させてくれた友人に感謝しつつ、原点に返って、手持ちでできなおかつ《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》をフルに活かせる青赤《燃え立つ復讐/Burning Vengeance》でも作ることにしよう。






・・・いやでも待て。それなら黒を足してもっとクリーチャーに対するコントロール力を高めてみてはどうだろうか。今なら《闇滑りの岸/Darkslick Shores》こそないが《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》は持っていることだし、少しぐらいならタッチできるな。そういや《オリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldaren》持ってたな。でもクリーチャーが増えると《燃え立つ復讐/Burning Vengeance》デッキらしからぬものに・・・いや、いっそのこと《燃え立つ復讐/Burning Vengeance》を抜いてグリクシスコンにしては・・・ってあれ?あれれれれれれ?

コメント

yuffy@アリス
2012年2月19日23:38

グリクシスコントロールでも
瞬ショー4枚あってもいいとおもいますよ??

CAMEL
2012年2月20日1:24

>>yuffyさん
使ってみるとわかるけど手札に複数枚来た時のもっさり感は異常なんですわ。
インスタントやソーサリーの数を増やすと結局息切れって場面も多くなるし、それなら青赤《燃え立つ復讐/Burning Vengeance》の方がよりスマートに彼を使いこなせるんですよね・・・

みりん
2012年2月21日18:42

光栄でございます。
復讐デッキはほぼオリジナルの愛着あるデッキなのでこれからも使いたいと思います。
今後も頑張っていきましょう!

CAMEL
2012年2月21日22:19

>>みりんさん
ええ!がんばっていきましょうとも!

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